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地域づくりと私たちのSDGs

 9月28日(木)にSDGs講演会の第2回目を開催しました。今回の講師の先生は国立環境研究所福島地域協働研究拠点の辻 岳史(つじ たかし)先生です。私たちのくらしと地域から、ふくしまでの取り組みやSDGsについてみんなで考えてみる授業になりました。第2回目の講演会なので、前回よりも少し深い内容です。どんな時間になるか辻先生も先生方もちょっと緊張です。(汗)

なぜ?地域でSDGsに取り組むのか。

 これまで学習したSDGsは、目標やターゲットなど、いまの世界各地で問題になっている環境・社会・経済といった内容に照らし合わせ「自分たちにできること」を考えてきました。資源についてや人権なども踏まえ、その問題解決にむけた一歩を考えたり話し合ったりしてきました。

地域の課題とSDGsのつながりを見つける

 今回の辻先生は、そういった今までの私たちの視点を少し変えて、「地域の課題とSDGsの目標との関わりについて探ってみては?」を提案してくれました。

データで見るふくしまの地域課題とSDGs

 例えば、ふくしまの有効求人倍率。リーマンショックや震災の影響などで低迷していましたが、全国の景気回復に加えて震災後の復興需要が高まり、建設業や製造業といった2次産業が盛んになりました。そして、ふくしまの魅力を発信する自治体や企業が増え、近年は1.5倍前後の推移。そして今もふくしまの経済が成長しています。

ひょっとしてふくしまは働きやすいのかもしれない・・。
そんなことを感じた生徒もいたかな?

 次に、ふくしまの二酸化炭素排出量です。自家用車に頼る生活スタイルが影響しており、一人当たりの排出量は全国の平均値を上回っているそうです。バス鉄道などの公共交通機関の利用率は低く、ふくしまの地域課題のひとつにあげられます。

私たちは必要以上にクルマに頼りすぎている?
そんな考え方も持ってほしいと思います。

そしてこのまま福島県で全く地球温暖化対策を実施しないと、2090年頃には現在と比較して平均気温が5.3℃上昇すると予測されるデータもあるそうです。

 SDGsの目標は、いま地域が抱えている課題の解決策のひとつになります。そして解決策だけでなく、活性化の要因のひとつにもなるでしょう。

SDGs の目標どうしの関係性。そして相乗効果

 郡山市では「理工系女子バスツアー」という企画が実施されています。これは市内の女子小・中学生を中心に理工系の仕事を目指すきっかけを提供する企画です。内容的には理工系の企業や大学などの施設見学、またものづくり体験・ワークショップを行っているそうです。SDGsの目標4「教育」と目標5「ジェンダー」の2つが関係性を持つ、ふくしまの取り組みのひとつです。白河市でも女性に寄り添うライフ・ワークサポート事業などが展開されています。このほかにも郡山市のフードバンク活動や、いわき市では市民による森づくり活動など相乗効果が生まれる活動が行われているようです。

 SDGsの各目標はお互いが関係深く、そして発展性の高い要素を多く含んでいること、ふくしまでは団体や個人だけにとどまらず、大学や行政が連携して取り組んでいることを教えてもらいました。

本校の工業科もほとんどが男子生徒なので、
女子がもっと増えてくれるといいですね。

「企業」と「SDGs」そして地域づくりへ。先生がみんなに伝えたいこと。

 また、SDGsに取り組んでいるのは学校や行政だけでなく企業も力をいれています。近年、人や社会・環境に配慮した商品を選び購入するという消費行動(エシカル消費)が拡がりを見せており、製造工程の見直しや商品開発に着手する企業が増えてきました。「ふくしまSDGsプラットフォーム」でも県内の企業がたくさんエントリーして様々な活動を推進しているのがわかります。

 今回、ふくしまのいろんな団体や企業が今取り組んでいる内容をたくさん紹介してくれました。でも辻先生の伝えたいことはそれだけでなく、「こういった企業や団体と連携したり協力したりして、なにか地域づくりできないだろうか?」ということです。さまざまな立場の人が協力することで目標の達成につながること、そして相乗効果のある取り組みを実施できること。先生は、この白河で実施できそうな「取り組み」「活動」を考えてみようと話してくれました。

誰と協力するか?そして連携することでできること。
身近にいるパートナーは大切な存在かもしれません。

 地域づくりに関わる、いろんな立場の人たちが連携して相乗効果を生み出し「持続可能な開発」につながっていきます。それは常に大きな組織でしかできないことではなく、学生である今のみんなの学習の範囲であってもSDGsの達成に貢献できることを今回教わりました。

~ 最後に辻先生からのメッセージ ~
SDGsは2030年までの目標ですので、残り7年ほどしかありません。しかし、地域づくり・まちづくりは、2030年以降もずっと続くわけです。その意味で、SDGsが地域のなかで、2030年以降の地域づくり・まちづくりの土台となる新たな連携の芽を育むものであればよいと思います。

 第2回のSDGs講演会は少し深い内容になりましたが、これは地域の産業や文化を支える大事な内容でもあります。今回学んだことを大切にしてください。
               SDGs × 🈟白河実業